大学生が税理士試験を受験するメリットとデメリット

大学生活

 はじめに

 今回は、一年間税理士試験の勉強をした現役大学生の私が感じた「大学生が税理士試験を受験することのメリットとデメリット」についてお話していきたいと思います。税理士試験や会計士試験に興味のある学生さんや、興味はあるけど一歩が踏み出せない学生さんに少しでも有意義な情報を提供することができれば幸いです。私自身、税理士試験に興味を持ち始めたときにネットで情報を探しましたが、なかなか生の声といいますか、税理士試験を受験した大学生が書いている記事は見かけなかったので、「本当に大学生で税理士試験を受験する人はいるのだろうか」と不安に思ったことを覚えています。そんな不安を少しでも解消することが出来るのではないかと思い、この記事を書くことにしました。

 私は大学三年生の夏(2020年の9月)に税理士試験を受験することを決めました。そして一年間、簿記論と財務諸表論という会計科目二科目を勉強し、一年後の2021年の8月に無事に二科目を受験し終えました。結果が分かるのは12月と随分先のことなのでまだ合否は分かっていません。合格しているかどうか分からない私が、この一年間勉強をして感じたメリットとデメリットをお伝えしたいと思います。

メリット

 まずは、大学生の私が一年間税理士試験の勉強をして感じたメリットを3点ご紹介します。

①学生のうちに金融知識を増やすことが出来る

 一つ目のメリットは何といってもお金に関する知識が増えたことです。税理士試験の勉強をせずに、のほほんと残りの大学生活を過ごしていたならば、きっと知らないままであろう知識を身に付けることが出来ました。私は大学で経済学を専攻しているので、人並みに金融知識は持っていましたし、興味もありました。しかし、税理士試験を勉強し始めてからの一年間で格段にその知識の幅が広がったのを実感しています

 例えば、税理士試験の勉強をするまでの私は、何となく投資について興味はありましたが、勝手に「難しいんだろうな」とか「社会人になってからでいいや」と思っていました。しかし、税理士試験の勉強をしていく上で、投資や株の話は避けては通れません。そもそもそれらがどういうもので、社会の中でどのように作用しているのか、企業にとってどのような役目を果たすのか、という基本的なことを学ぶことができます。このような基本的なことを知ることで、世の中に溢れている投資や株の情報を簡単に理解することが出来るようになりました。そして、理解することが出来るようになれば、ますます興味が湧き、どんどん新しい知識を得たいと思うようになりました。社会人になる前の段階で、お金の知識を増やせたことは、今後自身の財産になると思っています。

②多様なライフプランを描くことが出来る

 皆さん、現役税理士の何%が独立開業しているか知っていますか?答えは、77%です(平成26年度時点)。私はこれを知って、とても驚きました。税理士法人で社員として働いている税理士のほうが多いだろうと思っていたからです。監査法人や一般の企業で社員として働くひとのほうが多い公認会計士と比べ、税理士は独立開業しているひとのほうが多いのです。

 今の私は、まだ実務も一度もしたことがないですし、会計知識もほとんど無いので、独立開業なんて到底無理ですが、将来実力が付けば、独立開業することも視野に入れています。税理士試験の勉強を始める前の私は、何となく「卒業したら企業に就職し、出産と同時に休職し、また落ち着いたら復帰して、子育てをしながら働いて多忙な日々を送るんだろうな」という未来を描いていました。しかし、心のどこかで「本当にフルタイムで働きながら子育てなんて出来るのだろうか」とか「きちんと子供と触れ合う時間をとることが出来るのだろうか」という不安がありました。

 税理士という職業を目指している上でこのような不安はかなり解消されました。「このままフルタイムで働けない」「子供とお家で過ごす時間を増やしたい」と思ったとき、税理士には自分で開業するという手段が残っているからです。他にも、資格学校で講師として働いたり、税理士補助という形で週3日だけ働いたり、税理士資格をもっていると柔軟にワークスタイルを変えることが出来ます

③本当に大切にすべきものが分かる

 税理士試験を受験するとなると、これまで山ほどあった時間のほとんどを勉強に注がなければならなくなります。私の場合、予備校で週4日3時間の授業を受け、1日に少なくとも6時間は自習するようにしていたので、1日のスケジュールはほぼ毎日「起床→バイト→予備校で自習→授業→帰宅」でした。 コロナ禍ということもあり、 自然と人と会う頻度も少なくなっていきました。それまでの大学生活では、友達とも頻繁に遊びに出かけていたし、人並みに交友関係も広かったので、急に友達とも遊べなくなり、人と接する時間も減ったので、「寂しいな」「私も友達に会いたいな」と思うことも頻繁にありました。

 しかし、2か月ほど経つと、段々と「これはこれで良いかもしれない」と思うようになりました。人と会える時間は限りがあるからこそ、会える時にはその時間を大切にしようと思えたし、少ない時間でも足を運んで会って応援してくれるそんなを大切にしようと思えるようになりました。自分にとって本当に大切なものは何なのかを見極めるいい機会になったと実感しています。

デメリット

 続いては、大学生の私が一年間税理士試験の勉強をして感じたデメリットをご紹介します。

①就活の時期がずれる

 先述の通り、私は3年生の夏に税理士試験を受験することを決めたので、周りの友達がインターンをしている頃に勉強を始め、周りの友達が内定を貰った頃に試験を終え、4年生の秋にやっと就活を初めているような状況です。つまり、半年以上遅れている状況です。これは私の勉強を始めた時期が遅かったのもありますが、税理士業界に就職する場合は他の一般企業とは採用方法や採用時期が異なっているためでもあります。特殊な業界なので、一般企業に就職する友達と情報を共有することもできません。一人で情報を集め、対策をする必要があります。

②長期的な旅行や留学に行けない

 長期的な海外旅行や留学などは大学生のうちにやりたいことの1つだと思います。しかし、一旦試験勉強を始めてしまうと、予備校の授業は週に何日かありますし、膨大な量の課題をこなさなければいけません。2~3日の短期的な旅行は可能ですが、1週間以上の旅行をすることは現実的に難しいです。私の場合は、幸いにもコロナ渦の時期に勉強をしていたので、周りの友達をみて羨ましくなるといったことはありませんでしたが、長期的な旅行や留学が出来ないという覚悟をしておく必要はあると思います。試験勉強を始める前の大学1,2年生のうちにやりたいことを全部やっておくのがおススメです。

まとめ

 この記事を書いて改めて、一年間税理士試験の勉強をして良かったと思いました。この記事を見て、税理士試験に興味のあるかたの参考になれば嬉しいです。今後も自分の体験を踏まえて、様々なことを発信していきたいと思います。ご一読ありがとうございました。

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