消費税が「公平な税金」ではない理由

税金

はじめに

 今回は、私が消費税は公平な税金ではないと考える理由をお話していきたいと思います。まずは、なぜ消費税が一般的に「公平な税金」「公平な税制度」であると言われているのかについて述べ、次に、なぜ本当は「公平ではない」のかについて述べたいと思います。

一般的に「公平な税金」とされる理由

 よく消費税は「公平な税金」「公平な税制度」と称されます。なぜなら、どれだけ所得があるのか、どれだけ消費をしているのかに関わらず、どんな人でも支払う消費税の税率は同じだからです。所得税や相続税、贈与税は、累進課税という制度がとられています。累進課税とは、得ている所得が多ければ多いほど、持っている資産が多ければ多いほど、税率が大きくなるという制度です。このような累進課税がとられている税金と比べて、消費税は税率が一定なので、「公平な税金」「公平な税制度」と言われているのです。

 「公平な税金」と多くの人が思い込んでいるために、消費税を増税すると政府が発表しても、「どうせ全員の負担が同じだけ増えるんだからしょうがない。」「みんなで我慢するならいいか。」と思う人が多いのではないでしょうか。実際、所得税や法人税を増税するとなれば、政府を批判する声が多くあがりますが、消費税の増税に対してはほとんど批判の声があがりません

「公平な税金」ではない理由

 ではなぜ、消費税は本当は「公平な税金」ではないのかについて説明していきたいと思います。ではまず例を挙げて考えていきたいと思います。

 AさんとBさんとCさんがいたとします。Aさんの年収は手取りで200万円、Bさんは400万円、Cさんは2000万円だとします。Aさんは低所得者であり、いわゆる貧困層に属します。Bさんはサラリーマンの平均年収です。Cさんは高所得者、いわゆる富裕層に属しています。

 Aさんは貧困層であり、収入のほとんどを支出に使っています。貯金はほとんど出来ません。ここでは極端に貯金は0円ということにします。消費税率は一律10%なので、支払った税率は20万円ということになります。Aさんの所得に対する税率(支払った消費税÷年収×100)は、10%ということになります。ここでは 、所得に対する税率(支払った消費税÷年収×100)を真実の税率と呼ぶことにします。

 Bさんは中間層であり、 収入の一部を貯金することができます。年収400万円のうち、100万円を貯金し、300万円を消費に使用したとします。Bさんの支払った消費税は30万円となり、真実の税率、つまり、 所得に対する税率(支払った消費税÷年収×100) は7.5%ということになります。

 Cさんは富裕層であり、収入の半分の1000万円を貯金に回しているとします。となると、Cさんの支払った消費税は100万円となり、真実の税率は5%ということになります。

 Aさん(貧困層)Bさん(中間層)Cさん(富裕層)
年収200万円400万円2000万円
消費支出200万円300万円1000万円
貯金0円100万円1000万円
支払った消費税(10%)20万円30万円100万円
真実の税率10%7.5%5%
 

 上記の表を見て、皆さんはどう思いますか。Aさん(貧困層)は、Cさん(富裕層)の2倍の税率で消費税を負担しているのです所得が多ければ多いほど、税金の負担が少なくなっているのです。もはや、逆累進課税といってもおかしくありません。

 税金の機能の一つに、「所得の再分配」という機能があります。この機能は経済格差を是正するためのものです。経済格差は、これまでの歴史上、多くの争いや戦争を引き起こしてきました。よって、あまりに大きな経済格差は是正されなければなりません。現在の日本の経済格差は、世界の国々と比べると小さい方です。しかし、経済格差は年々拡大しています逆累進課税である消費税の税率を上げることは、経済格差を助長しかねません。よって、消費税に関してはより慎重に検討する必要があるのです。

まとめ

 以上が、消費税は「公平な税金」ではない理由です。私は初めてこれを知ったときに、はっとさせられました。「上辺の情報だけを鵜呑みにし、その本質を見極めることができていなかったんだ」と気づきました。これからも税金やお金に関する情報について発信していきたいと思います。ご一読ありがとうございました。

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